ブ:写真家の方にもプリントの知識を持って作品作りをしていただきたいと考えています。ですが、まずはファインアート用紙にプリントすることから楽しんでいたければと私たちは考えています。
冨:我々としてもポートレートのカテゴリーの中で、いいものを残していってもらいたいですから。そう言う意味でもポートレート専科は“見せ方を意識させるイベント”なわけですから、これからのアート市場にクサビを打てるのではないかという期待を持っています。
ブ:ポートレートって、写真を撮りたい人は多いけど、写真を買いたい人は少ないように思いませんか? しかもグラビアっていうのも日本にしかない文化ですよ。でも写真を撮る人のスキルは非常に高い。
魚:だから、我々がその先を目指さないといけないんじゃないですかね。
冨:基礎の部分がしっかりとできている方が次のレベルに行けるわけで、こうした方が増えてくれば日本のポートレートもまた違ったものになるような気がします。しかも日本のポートレートって、海外でいうポートレート写真(肖像写真)とは全く違いますからね。日本ではポートレート=女のコ写真みたいな捉え方をされることが多いから。
魚:日本のファインアートプリントがアートマーケットの中できちんと売買されるためには、将来その写真が転売できる可能性がないとダメだと思うんです。ポートレートで言えば、単に可愛い娘が写っているだけじゃダメ。被写体にも普遍性があって、写真としても魅力的じゃないといけない。そしてきちんとした用紙にあるレベル以上のクオリティでプリントされている。それらがクリアできていないと、海外では認められないんじゃないかな。
冨:実際にファインアートプリントをマーケットで売買するということになると、エディションの付け方や価格をどうするかというような様々な問題が出てきますしね。
魚:写真のアートマーケットって、アナログレコードのマーケットに似ていると思うんです。
冨:どういうことですか?魚:ちょっと前までは、日本でほとんど忘れ去られたような存在だったものが、その良さが見直されてきて、少しずつ人気が出てきているというか…。
冨:なるほど。アンプやスピーカーによって聞こえる音が違うっていうところも出力する用紙によって写真の見え方が変わるのと似ているかもしれませんね。もう気付き始めている方は、そこに意識を向け始めているのかな。
魚:そうじゃないですかね。爆発的なヒットにはならないでしょうけど、ファインアートの時代はもうすぐそこまで来ている気がします。
ブ:ファインアートプリントを本格的に始めようとすると、様々な知識が必要になりますけど、まずは難しいことだと構えずに、ファインアート用紙にプリントすることを楽しんでもらいたいと思います。
冨:そのためには、自分の表現したい色やイメージを持っていることが必要です。
魚:多少プリンターの色がズレていてもプリントできちゃうし、それに気付かない人も多い。もっと色に対する意識を持って欲しいと思います。それが写真の上達にもつながるわけだし。
冨:私たちもお役に立てるよう頑張っていきたいと思います。
魚:これからもよろしくお願いします。
(取材・構成:柴田 誠)
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