特集

「ポートフォリオ × 魚住誠一」


 

■アナログからデジタルへ

(魚) 現状、ほとんどのフォトグラファーがデジタルで写真を撮ってPCに入れた上でモニターで見てるんですが、そこから先、プリントアウトして写真を見せようという段階にまた来た気がするんですが。

以前、5年前ぐらいですとプリントアウトした写真は写真ではないというニュアンスがあったんですけど、プリントも「写真である」という段階までたたき台ができたと思うんですけど。

(新) そうですね。

(魚) 次は、それをどうプレゼンしようかというところで、フォトグラファーであればしっかりした「ブック」を作ろうと。僕の主催する「ポートレート専科」でも過去200名ほどのフォトグラファーからさまざまな形で自分の写真をプレゼンテーションしていただけるのですが。

(新) みなさんいかがですか?

(魚) ホントさまざまです(笑)
ただ、なぜかというと「ブック」という存在を知らない方もいらっしゃるんです。もちろんカメラや周辺機器も大事なんですが、自分の作品を他人に伝える、うまくプレゼンする、ということがフォトグラファーのかなりの重要度であるということを知らないんです。その手段のひとつとしてこの「ブック」という存在を議論したいのですが。
 

■正式名称は「ポートフォリオ ブック」

(新) 昔私たちが写真をやっていた頃は、たしか「ポートフォリオ(PORTFOLIO)」と言っていたと思うんですが、アメリカでは一般的にこれを「ポートフォリオ ブック(PORTFOLIO BOOK)」と言ってまして、日本ではいつの間にか「ポートフォリオ」が抜けて「ブック」と定着してしまったんです。

(魚) ポートフォリオの歴史は?

(新) アメリカのブリュワ カンテルモ社としては、バインダータイプのものは80年ほど前から、ネジで止めるスクリュータイプのものは30~40年前からやっています。国内ではほぼこのネジで止めるスクリュータイプが主流になってきてまして、バインダータイプいわゆる、開いた中央に金属が見えるタイプがちょっと嫌がられてきてますね。スクリュータイプでさらに中のネジが見えない(隠れる)タイプが好まれています。

(魚) やはり中央にアーチ型の金属があると作品のジャマになる、特に見開き2枚で1つの作品を入れる方にはちょっと向かないですしね。

(新) おかげさまで我々も10年ほどやられていただいておりますが、みなさん各社のフォトコンテストなどで使っていただいて、フォトグラファーの見せ方が非常に上手になってきております。

(魚) 特にどのあたりが重要ですか。

(新) 作品をよく見せるにはその他に「よりクリアに見せる」、透明度が悪くて作品を上から引っぱり出さないと写真内容わからないのであると、プレゼンされた側から「そこまで気を使ってない人なんだな」と悪く見られる、作品の良し悪しの前に「見せる準備ができてない」と評価される、という考え方もありますので。今回のテーマ「ブック」とは違いますが、博物館や美術館などにプレゼンしようという方には長期保存のできる「ストレイジボックス」に入れて見せるという形ぐらいまでもっていかないと、もうすでに対象外的な考え方も。

(魚) そのすべてが自分をプレゼンしてるんですよね。

(新) ただ、最近の若い方も良くなってきてます。デザイン学校や写真学校の就職活動をする学生さん、公募展に出す方は、いかにどうやって自分の作品をプレゼンするか、よく考えておりまして、広告代理店さんやメーカーさんに持っていきますので、少しでも自分のアイデアを入れていいモノを作っていこうと。

(魚) やっぱり、これが一番底辺にあることだと思いますね。みなさんがカメラの画素数がアップしたとかPCのスペックが早くなったとか、そういうこととはベクトルが違う、今ここでみなさんに誰かが提示していかないとダメだと思ったんですね。ある意味、写真業界の危機感をいだいた、という上で今回のテーマとしたんですよね。

-ここで偶然-

ハービー山口さん登場 (一同びっくり)
 

(魚) うわー、こういうところですごくご縁があるんですよね。以前「ポートレート専科」でもトークしていただいて…お世話になりました。どうやらギャラリーコスモスでの「ジャンルー・シーフ オリジナルプリント展」に来られたみたいで。

-再開-

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